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亜麻の種自体は食べられるのか?亜麻仁種食の文化

欧米化した食生活や手軽に購入できる加工品の過剰摂取などにより、肥満や生活習慣病のリスクが注目されて久しくなりました。今また、栄養バランスに優れた健康的な食生活が注目されています。バランスのよい食事を見直すとともに、食習慣に自然食品を取り入れることも一般的になりました。亜麻の種も注目されることが多く、大手通販サイトでもフラックスシードと検索すれば多くの商品が並んでいます。その素晴らしい健康効果やおいしい食べ方を紹介します。

亜麻の種、亜麻仁

フラックスシードとも呼ばれる亜麻の種、食べられることをご存知ですか?まず、亜麻仁について、どのような種なのか解説します。

亜麻仁について解説

亜麻仁(アマニ)は、「亜麻の仁」です。仁は種・種子のことを指すことから、すなわち「亜麻仁=亜麻の種」という意味になります。

英名はFlax Seed(フラックスシード)、学名をLinum Usitatissimumと言います。Linumは「リネン」を意味し、Usitatissimumは「最も有益な」という意味のusitausに由来しています。これからお話ししていきますが、亜麻仁の健康効果に関しての事実は、まさにこの学名が表していると言えるでしょう。

亜麻仁が持つ素晴らしい栄養素ですが、大変古い時代から認められています。石器時代にさかのぼればスイスの遺跡から種子を利用していた痕跡が発見されていますし、西暦800年にはフランスのシャルルマーニ大帝が「フランス臣民はアマニを摂るべし」と、種を食用として摂取することを法令化までしています。その後、アメリカやカナダでも亜麻が栽培されるようになり、同時に亜麻の種が食用やハーブとして使用されてきました。現在は日本でも、食用のフラックスシードがオーガニックのお店やオンラインショップなどで気軽に買えるようになりました。見た目はゴマと大変似ていますが、ゴマよりもひと回り大きく、色は茶色のものとキツネ色のものの2種類があります。

亜麻仁は亜麻の花の種

さて、亜麻仁はどうやって取れるのでしょうか。寒冷地で栽培され、繊維はリネンになる亜麻という植物があります。亜麻は、人類が初めて栽培した植物のひとつと言われ、エジプトでは紀元前5000年代にさかのぼって栽培されていました。

このように、古代から親しまれてきた亜麻は、茎から採れる繊維がリネンになりエジプトやギリシャなどの国で神事に使われてきたり、日本でも北海道で明治初期から栽培されました。

アマ科の一年草である亜麻ですが、夏には美しい薄紫の花を咲かせます。花が咲いた後、ぶどうくらいの大きさの実がなります。そのなかに最大で10こほどの種が入っているのです。この小さな種こそスーパーフードと呼ばれる栄養素を含み、おいしく食べることができるのです。

亜麻仁を食べることについて

亜麻仁はゴマのような形をした小さな種ですが、その小さな粒に素晴らしい栄養素が含まれていることから健康効果が期待できると注目されています。

亜麻仁に含まれる栄養素の説明

亜麻仁の健康効果が注目されていますが、どんな栄養素が含まれているのか大変気になるところではないでしょうか。まず、一番に取り上げたいものがオメガ3系脂肪酸である「α−リノレン酸」だと言えます。体内で作ることのできない必須脂肪酸にはオメガ3そしてオメガ6がありますが、現代の食生活ではオメガ6の摂取量の過多に対し、オメガ3が足りていません。オメガ3は特に脂肪の多い魚に含まれますが、現代の食生活では食べ物から摂取しなければならないこのオメガ3が十分に摂れていないのです。

オメガ3は、コレステロールを低減したり、血栓の予防、アンチエイジング、血圧を下げたり腸内環境を整えたりと、健康にとってのリスクを下げてくれます。そこで、亜麻仁が注目されています。亜麻仁にたっぷりと含まれているα−リノレン酸が不足している栄養素オメガ3を補ってくれるのです。

亜麻仁には嬉しいことに、他にもリグナン・食物繊維・抗酸化物質・ミネラル・ビタミンBやEなども含まれています。また、女性ホルモンを整えるために、医師が亜麻仁を毎日食べることを勧めるケースもあります。自然の恵みと言える亜麻仁がスーパーフードと言われるのは、体が必要としているこれらの栄養素が多く含まれているからなのです。特にリグナンと食物繊維は亜麻仁油にしてしまうとかなり減少してしまうようなので亜麻仁をそのまま摂取するメリットと言えそうです。

参考:オメガ3脂肪酸とは?

亜麻仁のおいしい食べ方は?

それでは、亜麻仁をどのように食生活に取り入れればよいのでしょう。亜麻仁の殻は硬く、そのままよく噛まずに食べると、消化されるに排出されることになってしまい効果を得ることができません。また注意点としては、シアン化合物が多少含まれるようなので加熱処理をしたほうが、安心に摂取できると思われます。

そこで、亜麻仁の栄養素をもっとも効果的に摂る一番の方法が「こな状に挽く」というやり方になります。コーヒー豆を自宅で挽いて楽しまれる方であればコーヒーミルを使ったり、またはスパイスを挽くスパイスミルがあれば簡単に亜麻仁をこな状にすることができます。どちらも無ければ、すり鉢で挽くこともできます。

亜麻仁から亜麻仁油ができる

亜麻から採れるのが種の亜麻仁ですが、この亜麻仁から抽出してつくる亜麻仁油(フラックスオイル)があります。ここでは、亜麻仁油にも注目します。

亜麻仁油の作り方

亜麻仁油は、亜麻仁を「低温圧搾法(コールドプレス法)」という方法で丁寧に抽出することで作ります。

熱や化学薬品を使用しないこの方法で抽出された亜麻仁油は、亜麻仁が本来持つ栄養素を壊さずに済みます。未精製の一番搾りの亜麻仁油は濃い色で、ほのかに渋みがあります。クセのない亜麻仁油を使ってみたい方には精製されたものがあります。

亜麻仁油の効果や効果的な食べ方

亜麻仁油の効果は亜麻仁に近いです。生活習慣病の予防、免疫力アップ、アンチエイジングなど、現代人が健康な生活を送るための嬉しい効果が期待できます。亜麻仁油はスーパーフードとして注目され、NHKや民放のテレビ番組、健康に関するインターネット情報、雑誌などで多く扱われています。

亜麻仁油をもっとも効果的に摂る一番の方法をご紹介しましょう。それは「生で食べる」という方法です。これは、亜麻仁油に豊富に含まれるa-リノレン酸が熱に弱く酸化しやすい特徴を持っているためです。

生で食べるには新鮮な状態で食べなければなりませんが、そのためには亜麻仁油を開封したら保管は冷蔵庫でし、1ケ月以内に使い切ることが大切です。新鮮な亜麻仁油を生で食べるにはそのまま食べることもできますし、エキストラバージンオイルの感覚で冷製パスタやサラダにかけたり、野菜に和えたり混ぜるなど手軽に食べてください。使い方のキーポイントは「かける・和える・混ぜる」です。なお、亜麻仁油の適切な摂取量は1日小さじ1杯程度です。摂取量を守って健康効果を最大に引き出してください。

参考:亜麻仁油を使った人気の簡単レシピ5選

まとめ

亜麻仁や亜麻仁油はみじかにあって気軽に購入できるにもかかわらず、得られる健康効果は予想以上のものがあります。昔から良いとされている食べ物は信頼できる良いものだということを亜麻仁も証明しているのです。豊富に含まれるオメガ3は体内では作れず、現代人に不足しています。しかし、オメガ3の健康効果を知れば、そのままにしておくべきではないと理解できるでしょう。だからこそ、亜麻仁や亜麻仁油が注目されているのです。小さじ1杯の亜麻仁を食生活に取り入れるだけで、さまざまな病気を改善・予防することが可能です。亜麻仁の最大の魅力は、現代人に欠けている栄養素を補えること、自然食品ですので安心して食べられる点です。手軽に「かける・和える・混ぜる」で亜麻仁を食生活に取り入れましょう。

参考: 亜麻仁油を食べるときの注意点と適切な摂取量