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亜麻の花言葉と誕生花

うれしい時、哀しい時、だれかに気持ちを伝えたい時。私たちはいろいろな場面で自分の想いを表すために、よく花を贈りますよね。花言葉がある花を渡せば口にせずとも気持ちを他人に伝えられます。人が生まれた日に応じた「誕生花」という考えもあり、人は古来より花に気持ちを込めたくて仕方ないようです。この記事では亜麻の「花言葉」と「誕生花」を見ていくことで、亜麻にこめられた気持ちを探っていきたいと思います。

亜麻の花言葉

まずは花言葉についてご紹介いたします。私たちは何気なく花言葉という単語を使いますが、よく考えてみると、どういう経緯で花言葉が生まれてきたのかをよく知りません。この項目では花言葉そのものの起源や由来を先に見てから、亜麻の花言葉に迫っていきましょう。

花言葉の起源や由来を解説

花言葉の起源を調べてみるとその歴史は意外に古く、中世アラビアの「セラム」という風習まで遡れます。セラムとは他人に伝えたい気持ちを花束に込めて贈呈し、受けた側は花に込められた意味を読み取ったうえで、返事を花束で返すというもの。日本風に例えるならば平安時代に意中の男女が交わした贈答歌のような、とてもロマンチックな風習です。

このセラムがヨーロッパへ伝わり「花に言葉を込める」という考えが流行りだしました。

19世紀初頭にはフランスで『Le Langage des Fleurs』というタイトルの本が出版。日本語で「花の言葉」を意味するこの本が大ヒットしたことで、だれもが花言葉を愛用する文化が根づいたのです。このように現在の花言葉のイメージは19世紀のヨーロッパで確立したようです。しかし花言葉の由来は各国の宗教や神話、風土に基づくものが多く存在します。「花言葉」という言葉が誕生するはるか前から、人類は花に気持ちを込める概念を有していたと考えた方がいいでしょう。

亜麻の花言葉

亜麻につけられた花言葉は次のとおりです。

感謝・単純・あなたの親切に感謝します・あなたの親切が身にしみる・(宿根草)ご親切にありがとう

最後の宿根草とは冬には枯れているように見えても根っこの部分は生きていて、春にまた花を咲かせるかもしれない多年草のことです。亜麻は1年で咲いて枯れる一年草が一般的ですが、中には多年草もあるのでそれぞれに別の花言葉が存在すると思われます。

いずれにせよ亜麻には「他人に対する深い感謝の意」が込められているといえるでしょう。

このような花言葉ですので、亜麻の花は普段お世話になっている方への贈り物にピッタリですね。花が用意できない場合はリネンで編んだ洋服やマフラーでも想いは届くのではないでしょうか。

誕生花としての亜麻

誕生花は1年365日のすべてに割り振られています。とはいえ365種類の花が1日ごとに当てはまっているわけではなく、1種類の花が数日分を担当しているのが通例です。また、日ごとの誕生花とは別に月ごとの誕生花という考えもあり、誕生花は実に多様な在り方をしています。昨今では大事な人への誕生日プレゼントに誕生花で仕上げたフラワーギフトを贈る方も大勢いらっしゃいますが、そもそも誕生花とはどんな経緯で生まれた考えなのでしょうか?この項目では誕生花の由来を探り、そのうえで誕生花としての亜麻をご紹介していきます。

誕生花に込められた意味や由来は?

誕生花という考えをだれがいつ決めたのか、正確なところは知る由もありません。諸説ありますが、現在有力とされているのは古代のギリシャやローマの宗教観を発端とする説です。

かつてのギリシャやローマの人々は、神は自然界のあらゆる所を司っており、時間という目に見えない流れにも神が宿っていると信じていました。とはいえ、宿っているはずの神は見えないし声も聞こえません。そこで人々は自然に咲く花やたくましい大木などを見て「自然の植物には神からのメッセージが込められている」と考えるようになりました。時間に神が宿るという信仰と、神から言葉を託された花。この2つが混じりあって「誕生日それぞれに神の意思がこもった花を割り振る」という誕生花の考えが発生したというのが、現在広まっている有力な説です。花言葉と同じように、人は古来から花に対して「美しい」「キレイだ」以上の意味を見出さずにはいられなかったようですね。

誕生花としての亜麻

亜麻が誕生花として割り振られている日は5/3、6/1、6/3の3日。宿根草としての亜麻は5/7、6/7の2日です。

「この日は大切なあの人の誕生日だ」という方は、その日に亜麻の製品を贈ってみるのもいいかもしれません。(花は咲く時間が限られるため贈答には適さないかもしれません・・・)ちなみに5月全体の誕生花はピンクバラ、スズラン、カーネーション。6月はユリ、アジサイ、グラジオシスとなっています。

亜麻の花について

これまでの話で亜麻は他人への感謝の念が込められた素敵な花だとわかっていただけましたでしょうか?しかし、亜麻の花の実物を見たことがある、という方はあまりいらっしゃらないと思います。それもそのはず。なにせ亜麻は現在、日本では北海道のとある地域でしか栽培されていないのです。この項目では「感謝」の花言葉を持つ亜麻がどんな花なのかを説明していきます。

亜麻の花とは?

亜麻はアマ科の一年草。茎の繊維は衣類の素材に、種子は食用に転用できる無駄がない植物です。その歴史は古く、起源は1万年前とも3万4千年前ともいわれています。

涼しい地域でよく育つ性質を持ち、世界ではロシア・フランス・東欧諸国といった国で栽培されています。日本で亜麻の栽培に適している地域は北海道のみです。そのため現在日本で亜麻を生産しているのも北海道の一部地域、札幌市の当別町などに限られています。

亜麻の花の色や花を見れる場所

亜麻は6月下旬から7月下旬にかけて開花し、薄紫の淡くキレイな花を咲かせます。茎の緑色と花の薄紫の色合いがとても美しく、初夏の北海道に広がる青空とのロケーションは絶景のひと言。ひと目見ただけで夏のノスタルジーに心地よく浸れることでしょう。

亜麻の花を実際に見たい方は、北海道の当別町で毎年7月に開催している「当別亜麻まつり」の時期を狙うのがオススメです。

当別町は昭和に一度断絶した北海道の亜麻栽培を2001年に復活させた町であり、現代における国産亜麻の拠点ともいえる場所となっています。良質な亜麻を咲かせる亜麻畑を多く有しており、花が咲く季節に合わせて亜麻を鑑賞するイベントを開いています。それが当別亜麻まつりなのです。開催時間は例年7:00という早い時間からで、13:30には終わらせてしまいます。これは亜麻の花が早朝に咲き、陽が昇りきる前には散ってしまうためとのこと。参加したい方は注意してください。亜麻は国内では北海道でのみ生育する珍しい花で、開花時間も朝の数時間と長くありません。実物を見るのはなかなか大変ですが、機会があればぜひその美しさを目に焼きつけてほしい花であります。

参考:北海道で開催される亜麻のお祭り

まとめ

亜麻の花言葉や誕生花としての役割を解説してきました。リネン製品や亜麻仁油としてならなじみがある亜麻ですが、花となるといまいちピンとこない方もいらっしゃるでしょう。そういった方がこの記事をとおして少しでも亜麻の花を身近に感じてくだされば、まさに「感謝」したい気持ちです。亜麻を実際にプレゼントしたい、と思った方はお近くのお花屋さん、もしくはインターネット通販などをご利用ください。大事な人の誕生日やお祝いの日に贈る亜麻の花はきっと美しく、すばらしい日をより一層色鮮やかにしてくれることでしょう。

参考:亜麻色とはどんな色?由来から調べてみた