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北海道で開催される亜麻のお祭り

現在、日本でも亜麻の栽培されている唯一の地域である北海道。 その中でも北海道の当別町は、ひときわ亜麻への思いが強く、毎年亜麻のお祭りを行っています。亜麻復興に情熱を注ぐ亜麻公社とそのお祭りについてご紹介したいと思います。

当別町で行われる亜麻のお祭り

北海道石狩郡当別町は亜麻の一大産地です。この当別町では亜麻の花が見ごろを迎える時期に合わせて「北海道亜麻まつり」が開かれます。普通お祭りといえば週末2〜3日間ほどかけて様々なイベントを行っているようなイメージがありますが、この亜麻まつりは開催期間が1日、しかも開催時間が朝の7時からというなかなか面白いお祭りなのです。以下より詳しく解説していきます。

北海道亜麻まつり

「北海道亜麻まつり」では亜麻の植物に関する展示、当別町の物産展の販売や亜麻から作られる製品の販売、亜麻の実で作った食品を扱うブースなど亜麻に関係のある出店が出ています。

また、亜麻繊維の採取や糸紡ぎの実演・体験、『亜麻色の髪の乙女』を題材とした歌唱コンクールなどの企画も充実。開催時期は亜麻の花が見ごろを迎える6月下旬から7月上旬に合わせ開催されます。開催時間は例年7時〜13時半と、始まる時刻が早い分終了時刻も早いのですが、実はこれには亜麻の花の特徴に基づいた理由があるのです。

亜麻の花

通常亜麻の種まきは毎年4月〜5月の間に行います。それ以降でも育ちますが、暑さに弱い性質があるため、背丈が伸びず花の数も減ってしまいます。こうして種まきが行われ、発芽してから1ヶ月半ほどで背丈が60cmまで伸び、2ヶ月ほどで花が咲きます。小さな花の色はネモフィラを思わせるような綺麗な青色。細い茎についているので、風に吹かれると亜麻畑全体が揺れてとても美しい光景です。

この亜麻の花、日の出とともに花を咲かせ、早ければ10時過ぎは萎え始め、お昼を過ぎるころには散ってしまうのです。

つまりとても儚い花。こういった特徴があるからこそ、「亜麻まつり」は開催時間が早いのです。

参考:亜麻の花の色や咲き方

亜麻栽培復興の動きに関して

日本では江戸時代に種を薬として使用するために亜麻の植物が栽培されていました。しかし以降延々と続いていたわけではなく、明治期に繊維を摂るために北海道にて亜麻栽培が始まってから、昭和40年代に一度途絶えてしまっています。現在では亜麻から摂れる亜麻仁油や、愛用者も多いリネン製品の需要などもあり、世界の亜麻の生産量は右肩上がり。そこで日本でも歴史ある亜麻と亜麻の製品を北海道の地で復興させたいという思いから、生産者が長きに渡り栽培方法を見直し、亜麻栽培を復活させています。

日本で亜麻の栽培がされているのは北海道のみ

現在日本での亜麻栽培が行われている地域は北海道のみです。理由は亜麻の性質にあります。亜麻の原産地は中央アジアの乾燥地帯。丈夫な植物で土の質は問わず育てることができます。また、乾燥に強いため、水やりも頻繁に行う必要はありません。

しかし、亜麻は育てる上で寒い場所が適しているとされ、実際現在の主要な生産国はロシアやフランス北部など寒冷地が多いとされています。暑さに弱く、高温で枯れてしまう亜麻。ですから日本での栽培を行うのに最も適しているのが北海道だったというわけです。

北海道と亜麻の生産に関して

一旦は途絶えてしまった北海道での亜麻栽培。しかしこの歴史ある植物亜麻をもう一度北海道の地で復活させたいと生産者たちが立ち上がります。それが現在当別町で亜麻栽培を手掛けている「(有)亜麻公社」と「亜麻生産組合」です。しかし一度途絶えてしまった亜麻の栽培は容易ではなく、栽培方法を一から確立する必要がありました。長い年月をかけて試験栽培を行い、農薬を使わずに育てた亜麻の植物の栽培に成功しています。

亜麻公社について

2001年、約40年ぶりに北海道の地に亜麻栽培を復活させた亜麻公社。亜麻を原料とした、人の体に優しい商品の企画・製造・販売までを一手に担う会社です。

この全てに携わることで亜麻産業クラスターを構築し、地域活性化に繋げたいとも考えており、栽培は当別町と新十津川町の契約農家で亜麻生産組合を組み、製造は自社で、販売も他に委託することなく自社サイトで行うことでしっかりと亜麻の魅力を伝えることができています。地域の人々で作り上げた亜麻だからこそ、「亜麻まつり」のようなイベントも盛況で、街おこしの一環として多くの観光客の方々に受け入れられているのです。

 北海道の亜麻の産地・当別町

明治26年当別町で亜麻栽培が始まり、昭和40年代に衰退、化学繊維の台頭と普及に伴い、一度は北海道の地から姿を消した亜麻。しかしこの歴史ある作物亜麻を絶やしたままではいけない、亜麻から摂れる製品を活用して地域活性化を実現できないかと、2001年から亜麻公社が当別町にて亜麻栽培を復活させました。

その亜麻公社と協力して亜麻栽培を行っているのが亜麻生産組合です。

亜麻栽培が衰退してから約40年と長い年月が経っており、技術などもなく全てが一からだったというスタート。安全な製品として販売するためにもその原料である亜麻を、十数年かけて試験栽培を繰り返し今に至る技術を築いたといいます。この農業者の苦労が実り、当別町では亜麻の花が咲くころに亜麻畑一面に青く可憐な花々たちを見ることができます。

参考:北海道が亜麻の産地だった

まとめ

北海道で開催される亜麻のお祭り「北海道亜麻まつり」。亜麻に関する展示、亜麻を原料にした製品や当別町の農産物の販売、亜麻の種子を用いた食品を楽しめるブースなど様々な店が出てイベントを盛り上げます。それ以外にも亜麻の繊維から摂られる糸を使った糸紡ぎの体験や実演を見ることもできます。この「亜麻まつり」は亜麻の花が見られる6月下旬から7月上旬に開催され、開催期間は1日です。朝の7時から始まり昼過ぎには終了するのですが、理由は亜麻の花が見られる時間が短いということにあります。亜麻の花は大変儚いことでも知られ、日の出と共に花を咲かせたら昼頃には散ってしまいます。そのため1日の開催で開催時間も朝早くからとなっているのです。

参考:日本で亜麻に携わる方々〜亜麻編〜