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ワトコオイルの主成分は亜麻仁油

日曜大工、今風にいえばDIYではとにかく道具にこだわりたいですよね。木材や工具はもちろん、仕上げのオイルフィニッシュも上質な油でしっかり決めたいところです。そこで今回は亜麻仁油を原料とする塗料、ワトコオイルをご紹介いたします。亜麻仁油といえば健康食品として話題になったオイルですが、実は工作油としても活躍する万能オイルなのです。亜麻から生まれた自然由来のワトコオイルは、あなたのDIYを一段階レベルアップしてくれることでしょう。

ワトコオイルと亜麻仁油

こちらではワトコオイルがどんな油かをご紹介します。なぜワトコオイルがあなたのDIYをよりよいものにしてくれるのか、亜麻仁油を主成分とするメリットはなにか。詳しく見ていきましょう。

ワトコオイルって何?

ワトコオイルは70年ほど前にイギリスで誕生したオイルフィニッシュ用の塗料です。

オイルフィニッシュとは木工品の表面に油を塗る手法のことで、作品の見栄えをよくしたり表面を保護したりする役割を持ちます。テーブル、タンス、床など、木製であればどんな作品でもオイルフィニッシュは一定の効果が見込めるでしょう。

ワトコオイルの人気がとくに高い地域はデンマークです。誕生してから現在までの数十年間、デンマークの木製家具といえばワトコオイルを塗っているのが当たり前。そのためワトコオイルを「デンマークの油」を意味するダニッシュオイルと呼ぶ方もいらっしゃいます。ワトコオイルの香りはやわらかく優しいとよく例えられますが、デンマークでは日常の香りなのかもしれませんね。このようにワトコオイルは基本的に海外向けの商品であり、日本にあるものは十中八九イギリスからの輸入品となります。

ワトコオイルは亜麻仁油ベースのオイル

ワトコオイルは植物油と溶剤を混ぜ込んだ塗料であり、植物油にはもっぱら自然由来の亜麻仁油を使用します。

亜麻仁油は亜麻という植物の種を搾って採れるオイルであり、近年では食用として有名です。ですが実際には工業用のオイルとしても活用されており、ワトコオイルのような塗料のほかには油絵に用いる絵の具にも使われています。

亜麻仁油が工業用オイルに向いている理由はその乾きやすさ。空気に触れると化学反応を起こして徐々に固まっていく油を乾性油といいますが、亜麻仁油はこれの一種です。この性質のおかげで木材に塗ってもベタつくことがありません。むしろ絵の具のようにツヤを出しながら固まってくれるのです。このように亜麻仁油はオイルフィニッシュに適した油といえます。ですが、ワトコオイルの主成分に採用される理由はこれだけではありません。亜麻仁油だからこそのすばらしいメリットが存在するのです。

オイルフィニッシュとしての亜麻仁油

オイルフィニッシュ用のオイルに亜麻仁油が好んで使われる理由は自然由来のオイルだからです。皆さんはシックハウス症候群をご存じでしょうか? シックハウスとは「病気の家」を意味する言葉で、家屋内にただよう化学物質やカビ、ダニなどを吸引することで起こしてしまう健康障害を指します。シックハウス症候群の原因としてまず候補に挙がるのは家具や建材に由来する化学物質です。質の悪い接着剤や塗料を使った家具とともに生活するだけでのどの痛みや頭痛といった症状を招く可能性があります。

そこで登場するのが亜麻仁油というわけです。亜麻仁油は自然の植物から採れる、いわば天然の塗料。これを主成分とするワトコオイルで仕上げた家具ならば、シックハウス症候群のリスクを回避できるでしょう。

趣味のDIYで作成した家具で体調を崩すなんてあまりにも悲しい話です。気持ちよくDIYを楽しみたいならば亜麻仁油のワトコオイルを検討してはいかがでしょう。

参考:亜麻仁油とは

オイルフィニッシュについて

この項目ではワトコオイルの主目的であるオイルフィニッシュについて解説します。先ほども触れたように、オイルフィニッシュとは木工品に仕上げとして油を塗ることです。「どうしてせっかく作った自信作に油を塗りたくる必要があるの?」そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、オイルフィニッシュはDIYを極めるうえで避けては通れない道なのです。その必要性から実際のやり方、注意点までとり上げますので、ぜひ今後のDIYで参考してください。

ワトコオイルに亜麻仁油以外に使われる油は?

ワトコオイルは亜麻仁油を原料にする。だからこそオイルフィニッシュに適していると先ほどお伝えしました。「ならばワトコオイルには亜麻仁油以外の油は使われないのか?」このような疑問を抱いた方もいらっしゃると思います。

結論からいいますと、ワトコオイルは亜麻仁油が主成分ではありますが、そのほかの植物性油も入っています。

桐油やえごま油など、亜麻仁油のほかにもオイルフィニッシュに適した油はいくつかあります。ですが、それらを含んだ塗料はワトコリアレックスと呼ばれるのが一般的です。ホームセンターなどで見かけるワトコオイルは、ほぼ間違いなく亜麻仁油が主原料と考えて問題ないでしょう。

オイルフィニッシュのやり方や注意点

それではオイルフィニッシュの具体的なやり方を見ていきます。オイルフィニッシュによって期待できる効果は以下の2点です。

・木目をキレイに残し、作品を美しく仕上げる

・油の膜で湿気や汚れを防いで作品を保護

どちらもDIYを楽しむ人にとってはうれしいですね。ふたつの効果をしっかり享受するためには、ただしい手順でのオイルフィニッシュが不可欠になりますので、しっかり覚えましょう。

用意するものは仕上げたい木材、布、塗る用のハケ、紙ヤスリ(耐水ペーパーがベスト)、ワトコオイルの4つ。手の汚れが気になる方はゴム手袋や軍手を用意してもかまいません。具体的な手順は次のとおりです。

1    木材にヤスリがけして表面をキレイにする

2    ハケを使ってワトコオイルを木材に塗りこむ

3    30分ほど乾燥させてから布で余分な油をふき取る

4    1時間ほど乾燥させたらハケで重ね塗りし、3の作業をくり返す

5    24時間乾燥させて完成

完成まで24時間以上かかると聞くと大変そうに見えますが、大半の時間は乾燥です。実際の作業量はそこまで多くありません。

注意点としては、まずいっぺんに木材全体を塗ってしまわないこと。乾燥させるために置いておかなくてはならないので、少なくとも乾燥中に置いておく面だけは絶対に塗ってはいけません。全体を満遍なくオイルフィニッシュしたい場合は上記の工程を最低でも2回行う必要があります。

また、ワトコオイルを塗る際はハケでも布でも木目に沿うよう塗ってください。ムラを防ぐために均等を意識し、重ね塗りで厚みが出ないようにうすく塗りましょう。そしてなにより大事なのは身の安全の確保です。天然由来の素材とはいえ、ワトコオイルは塗料であり油です。引火による火災や目に入っての失明といった事故の可能性は捨てきれません。オイルフィニッシュをおこなう際はDIYの基本に立ち返り、安全第一を意識してください。

まとめ

亜麻仁油を原料とするワトコオイルをご紹介いたしました。ちなみにワトコオイルは塗料ですので色に種類があります。自然の味わいを活かしたナチュラルや大人の上品さがただようダークウォルナットなど、全部で8種類ありますので好きなものを選びましょう。また、自然由来とはいえ混合物は使いたくない、という方は塗料用の亜麻仁油を選ぶ手もあります。ワトコオイルのように溶剤などは混ざっていませんので、よりナチュラルな素材がお好みならばオススメです。自分の合ったオイルを今後のDIY活動に取り入れて、ぜひクオリティアップを目指してみてください。