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亜麻は油絵の"キャンバス"や"オイル"にも使われている

油絵で使われるキャンバスの素材にはなにが使われているのかご存知ですか?素材には様々な種類がありますが、実は、亜麻から取れる繊維のリネンもその一つです。また、亜麻から搾油される亜麻仁油も油絵用の油としても使用されているなど、亜麻は油絵と切っても切り離せない密接な関係があります。そんなリネンで作られるキャンバスと原料となる植物について、油絵にも使用される亜麻仁油についても解説します。

油絵で使う「キャンバス」とは

キャンバスとは縦と横の糸で作られた厚手の布のことをいいます。この布を四角に組んだ木の枠に貼り込んだものがよく見る画材キャンバスです。この張り込む作業から画家側が行うこともありますが、画材を取り扱う店でもすでに張り込んだキャンバスが販売されています。キャンバスの主要素材はリネン、綿等です。リネンでできたキャンバスと、それ以外の素材で作られたキャンバスとの違いを比較していこうと思います。

キャンバスの歴史

キャンバスに描かれた作品で最も古い物は1410年ごろフランスで作成されたものだそうです。それ以前は木の板に絵を描いていましたが、木は湿気に弱く傷みやすいので段々と亜麻から取れる繊維のリネンで作られたキャンバス素材に移行していったようです。また、木の板では大きさにも制約がありましたが、布であるキャンバスなら織ることが出来ればどんなサイズにでも対応できるため重宝されました。

リネンのキャンバスと他の素材のキャンバスの違い

リネンで作られたキャンバスは、非常に繊細で伸び縮みが少なく油の酸化にも強いという特性があります。また、リネン繊維がしっかりとしているので丈夫で強度があり、大きな作品を作る際にも適しています。それ以外にもリネンで作られたキャンバスは細かい描写や、油絵での厚塗りなど適応力があるとしても知られ、画材キャンバスの中でも最も需要があるのがリネンで作られたものといわれています。その他にも綿やナイロンといった合成繊維から作られたキャンバスもあります。

綿…アオイ科の一年草から摂られるのが綿です。種子の周りについた白く柔らかい繊維を原料としています。キャンバスとしては凸凹が少なく滑らかなため、細やかな描写に適しているといえます。しかし油の酸化に弱く、乾燥で破けるなど、繊細な一面もあるため油絵に適していないとされることもあります。

ナイロンなどの合成繊維…ナイロンの他にもビスコース繊維やポリエステル等の化学繊維などでもキャンバスは作られます。天然製品でなく、合成繊維で作られるため害虫や湿気に強く、伸縮が少ないことでも知られます。しかし熱に弱く、変形しやすいという特徴があるため、色がついたところから変形をしてしまうと戻ることがありません。

亜麻仁油は油絵のオイルとして使用

亜麻の茎は繊維となって亜麻糸になりそれが亜麻糸が、キャンバスやリネンに生まれ変わり、亜麻の種は絞られて油になります。テレビ番組で扱われ健康に良いということで「亜麻仁油」という名前を知っている方も多いと思いますが、亜麻仁油は食用油だけでなく、油絵のオイルとしても使われているのです。そこでこの項目では亜麻仁油とは一体どんなものなのか、なぜ油絵で使用されるのかなどをまとめてみました。

 亜麻仁油とは?

亜麻仁油とは亜麻の種を絞って摂られる油のことです。一般的に知られているのは食用油としての亜麻仁油ではないでしょうか。

亜麻仁油には脂質に含まれる成分の1つ、オメガ3を豊富に含んでいます。このオメガ3は主成分にαリノレン酸を含んでおり、血液をサラサラにする効果が期待できます。それ以外にも亜麻仁油は「リンシードオイル」として油絵具の着きをよくし、粘りが欲しい時や薄めたい時、また艶出しなどにも使用されています。

油絵のためのリンシードオイルとは?

油絵で使用される油絵具は顔料を油で練ったもの。この油絵具は水を一切含んでいないため、薄める時には油(溶き油)を使用しなければなりません。

油絵のオイルとして「リンシードオイル」が使用される理由は、多くのリノレン酸を含むことで乾燥が速く、固着性と耐久性に優れていること。また、乾燥後の絵の具に亀裂が入りにくいことです。

亜麻仁油の特性を活かしたオイルを油絵で使用することにより、油に含まれる成分が固まり、キャンバスに色が定着するのです。

参考:亜麻から亜麻仁油ができるまで

まとめ

以上のように亜麻という素材は画材としてキャンバスや油絵用のリンシードオイルとして重宝されています。亜麻は古くから人類と歩んできた歴史を持っています。多くの場合、「リネン」として衣服や食卓、ベッド用の繊維素材として利用されてきましたが、油絵にもその素材の活用は及んでいたのですね。油絵を始めとする芸術文化の歴史が長いヨーロッパで古くから長く愛されてきた証拠と言えるでしょう。他のページでも亜麻について詳しく取り上げていますので是非ご覧になってみてください。

参考:亜麻仁油とは