
健康や美容によいことから、亜麻仁油が注目されています。その効果は、NHK「ガッテン!」やテレビ朝日「林修の今でしょ!」などのテレビ番組でも取り上げられています。従来の油はカロリーがあるから摂らないほうが良いという考えから、近年は油に含まれる栄養成分による健康効果が改めて見直されてています。
- オリーブオイル、ごま油、ココナッツオイルやグレープシードオイルなどが店頭に並ぶなか、亜麻仁油はそこまではまだメジャーではないかもしれません。しかし、注目される理由がいくつもあるのです。
亜麻仁油とはどんな油なのか、その使い方、含まれる原料について解説します。
亜麻仁油とは
「亜麻仁油」(アマニ油)は、亜麻という植物の種から抽出される油です。亜麻は、リネンを作るときに使われるアマ科の一年草としても知られています。さっそく、亜麻仁油はどのような油なのか解説しましょう。
亜麻仁油は亜麻の種から作られる
フラックスオイルとも呼ばれる亜麻仁油は、亜麻の種子から作られます。亜麻の種は茶色で平たい形をしています。
その熟した種に物理的な圧力をかけ、圧搾したりつぶして抽出し亜麻仁油を作ります。
抽出方法ですが、亜麻仁油が持っている本来の栄養成分を壊さないように「低温圧搾法(コールドプレス法)」で丁寧に抽出されたものがよいと言われています。抽出された未精製の亜麻仁油は、黄色味をおびた油の色が濃く、ほのかな渋みがあります。亜麻仁油の人気で、多くの商品が店舗やオンラインショッピングで買えます。
亜麻仁油を選ぶ基準として、有機JAS認証や海外のものでもオーガニックとして認められているものがおすすめです。
さて、亜麻仁油が注目されているのは含まれる栄養成分が健康や美容に良いと言われているからです。厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準(2015年)」にある通り、適量(1日小さじ1杯=4g)程度の亜麻仁油を摂り、過剰摂取は避けるようにします。油はどの家庭でも使われる食品であり、健康志向でさまざまな油が出回っています。
ここで、人気のあるエゴマ油を取り上げ、亜麻仁油と比べてみましょう。
亜麻仁油とエゴマ油との違い
えごまはシソ科ではありますが、スーパー等でよく見られる紫蘇とは異なるものです。昔はえごまに馴染みがなかったので、しそ油、しその実油などと呼ばれていたようですが、シソ科のエゴマの種子を搾ったものがえごま油です。以下、亜麻仁油とエゴマ油との違いを比べます。
含まれる栄養成分 亜麻仁油およびエゴマ油:a-リノレン酸約60%、α-リノレン酸だけでなく、オレイン酸やリノール酸も同じような割合で含まれています。
味 亜麻仁油:ほのかな渋みエゴマ油:ほぼ無臭でクセがない
酸化の早さ 亜麻仁油およびエゴマ油:酸化安定性が低く、酸化が早い
オメガ3系のa-リノレン酸を多く含むこの油は、熱に弱く劣化しやすい特徴があります。
しかし、エゴマ油は亜麻仁油の約5倍のビタミンEを含むことから、亜麻仁油と比べて約2倍の使用期間を保つことができます。商品パッケージの取扱い上の注意にもよく明記されている通り、冷蔵保存は必須です。亜麻仁油は、劣化を避けるため使い切れるような量のものを選びます。開封後、1ケ月ほどで使い切るのが目安となります。亜麻仁油もエゴマ油も、含まれる成分とその量はほとんど同じということが分かりました。
違いは、その味と酸化のスピードというポイントになります。
亜麻仁油の使い方とはどのようなものがあるのか解説
食品としての亜麻仁油を紹介しましたが、実は”塗料”としても利用されています。これも亜麻仁油の特性を活かしたうえでの活用です。
以下、亜麻仁油の使い方を「食べる」「塗る」に分けてご紹介します。
亜麻仁油を食べる
自然のめぐみと言える亜麻仁油ですが、a-リノレン酸を多く含むため熱に弱く劣化しやすい油です。
酸化した油を摂取すると、健康によいどころか逆効果になってしまいます。
亜麻仁油を使うときは、「加熱はせずに生で食す」のがベストであり、豊富な栄養成分を無駄なく摂れる秘訣となります。食べ方例を3つご紹介しましょう。
1. かける サラダ・野菜・焼き魚・さしみ・納豆・冷奴・冷やし中華・グラノーラ/ヨーグルト/はちみつ、など。
2. 混ぜる ドレッシング・スムージーなど。
3. 和える オクラとわさび和え・おひたし・ぬかづけ、など。
このように、亜麻仁油は野菜でも果物でも意外と合います。あくまでも「加熱しない」というポイントを抑え、「かける・混ぜる・和える」というやり方で気軽に食べることができます。あとはお好みでいろいろ試してみてください。
亜麻仁油を塗る
さて、もう一つの使い方を紹介しましょう。亜麻仁油は、乾性油(かんせいゆ)です。乾性油とは、空気中で徐々に酸化し、固まる油のことを言います。
自然乾燥するというこの特性を活かし、亜麻仁油が塗料として使われています。
亜麻仁油は天然塗料であり、それだけでも使用するのに安心感がありますが、他にもメリットがあります。
−カビや腐敗に強い
−水をはじく
−天然塗料であるため、科学物質使用で起こるシックハウス症候群などのリスクを最低限に抑える
−塗装用でなく食用の亜麻仁油でも代用できるため、スーパーなどで簡単に入手できる
亜麻仁油は天然という安心感と安全、木材の美しさと機能性を妨げない優れた塗料だということが分かりました。
亜麻仁油に含まれる原料について説明
アンチエイジング、病気予防、美肌効果、免疫力アップなど、亜麻仁油効果が話題になっています。それらは亜麻仁油に含まれる、以下の栄養成分によるものです。
a-リノレン酸
近年の食生活・ライフスタイルの変化から、メタボリックシンドロームの危険性が話題になってから久しくなりました。魚を食べる量が減ったことも影響しており、青魚の脂肪分に多く含まれるオメガ3の摂取も比例して減っています。
亜麻仁油の含まれる「a-リノレン酸」は、オメガ3系の必須脂肪酸です。不飽和脂肪酸のひとつで人体内では合成することができないため、外部から調達する必要があります。
a-リノレン酸は、血中の悪玉コレステロールを減少させ善玉コレステロールに変換する、血液をさらさらにし血栓ができるのを予防する、血圧を下げる、アレルギー原因物質を抑制するなど、さまざまな働きをします。また、血行がよくなる結果、基礎代謝と新陳代謝のアップにより、美肌効果も期待でき、一石二鳥以上のメリットがあるのです。
現代人が不足しがちなオメガ3ですが、亜麻仁油で気軽に摂取することができます。小さじ1杯程度の量を1日限度にし、継続して摂取することでさまざまな病気を予防することが期待できます。上述の通り、亜麻仁油は酸化しやすいため、劣化したものを摂取しないよう気をつけることが大切です。
亜麻仁油を日常的に取り入れることは、いきいきとした健康な生活を送るための良きサポートになるのです。
まとめ
亜麻仁油の原料は、亜麻という植物の種です。亜麻は古代から病気予防のハーブとして使われていました。そして、種は江戸時代に薬として使われていたという話もあります。
亜麻仁油は1日小さじ1杯で、現代病への予防対策ができるスーパーフードです。酸化させないためには加熱しないこと、正しく保存すること、このふたつのポイントに気をつけ、亜麻仁油を上手に生活に取り入れることをおすすめします。