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日本で亜麻に携わる方々〜リネン編〜

リネンといえば、そのナチュラルな風合いと機能性の高さで大変人気です。天然素材のため、安心して使えるところも魅力です。モノを持ちすぎず、”丁寧な暮らし”をすることが豊かとされる今、リネンで作られたアイテムはそのコンセプトにまさしく合っていると言え、多くの雑誌やウェブサイトで特集されています。日本におけるリネンの歴史、そして日本でリネン作りに携わる企業を紹介します。

日本におけるリネン作り

リネンは、亜麻という一年草から採取します。リネンを使ったものには衣類、ベディング、タオル、カーテン、テーブルクロスやキッチン雑貨など様々なアイテムがあり、私たちのライフスタイルをすべてリネンでカバーできると言ってもよいほどです。このように人々の生活に浸透しているリネン、日本におけるリネンの歴史をご紹介します。その歴史を知ることで、愛着のあるリネンにさらに親しみを感じることでしょう。

日本のリネンの歴史

人類が初めて栽培した植物のひとつと言われる亜麻は、1万年もの歴史を持つ大変特別な植物です。その亜麻の茎を原料にしたものがリネンという素材です。特別な植物・亜麻から採るリネンは人類最古の繊維と呼ばれ、古代エジプト、ギリシャ、ローマなどでは上質で純白なリネンが重宝されていました。これらの国の神事など大切な催事に使われていたんですね。また2010年6月24日、ハーバード大学図書館コミュニティの発表によれば、グルジアの洞窟から黒・青緑に染まった約3万年前の亜麻先染糸が発見されたということです。それまで1万年と考えられてきたリネンが、さらに2万年遡るという大きな発見です。このように、リネンの歴史は私たちが思っているより遥か昔からあることに驚かされます。さて、日本に目を向けてみましょう。

日本に初めて繊維用植物としてのリネンを紹介したのは、明治維新の中心人物一人・榎本武楊です。1874年、公使として赴任していたロシアから亜麻の種子を日本へ送ります。その種子を北海道開拓使長官であった黒田清隆が札幌で栽培させたという記録が残っています。そして、10年後、日本初リネン紡績会社「近江麻糸紡績会社」(のちの帝国繊維)が設立されました。それ以降、産業資材としてのリネンは急速な発展を遂げます。

最盛期には、十勝地方を中心に北海道全域で約4万ヘクタールもの土地で栽培された亜麻からリネンが作られていました。格式あるリネンの誕生で、宮中の正式晩餐会のテーブルウエアに使用されたり、その後は軍用品の素材として利用されます。収穫時、大量の亜麻茎が野積みされる光景も北海道の風物詩となります。

しかし、敗戦でリネンの需要が無くなったところに、昭和40年代の化学繊維の台頭により、リネンは姿を消していくのです。現在の日本におけるリネンはどのような状況でしょう。リネンが姿を消してから約40年後、北海道同友会札幌支部農業経営部会・産学官連携研究会で亜麻を復活させたいという人々が出会います。商品管理やマーケティングのアドバイスを外部から受けながら、株式会社亜麻公社や農場が「北海道亜麻ルネッサンスプロジェクト」をスタートさせたのです。2007年には、亜麻の生産面積は8ヘクタールまで拡大しています。このように、一度無くなった亜麻栽培、そしてリネンを使用した商品作りが現在では復活しているのです。ここで、国産リネンの定義について触れておきましょう。国内で製織した生地が”国産リネン”です。原料が国産である必要はなく、フランスやベルギーの糸を使い、中国で紡績をしたものを国内で製織すれば、それは国産リネンです。では、日本においてリネン作りに携わっている企業を紹介してまいりましょう。

参考:北海道での亜麻栽培の歴史

日本においてリネン作りに携わる企業紹介

年代を問わず、多くの人々に親しまれるリネン。近年は、自分の暮らしを見直すライフスタイルが注目されています。使い捨てをなるべく止め、お気に入りのアイテムを長く使いこむことで気持ちのよい生活を送ることができます。このような行動は、自分が納得できるライフスタイルを送れるだけでなく、大量消費に歯止めをかけ、地球の温暖化を止めるひとつの行動につながります。生活に優しく、地球にも優しいのがまさしくリネンです。ここで、リネン作りに携わる5社をご紹介しましょう。

LINNET

LINNET 公式サイト

LINNET(リネット)は、オリジナルのリネンファブリックを中心に、セレクトしたコットン・ウールなど自然素材の布、そして洋服型紙や雑貨を扱うお店です。お好みに合わせて、衣類、ベッドリネンやカーテンなどのセミオーダーも受け付けています。

京都のお店は、全体的にナチュラルなインテリアで統一されており、リネン商品との相性がとても素敵です。

NHK「あさイチ」にリネンの衣類の洗濯方法を取材されたり、染め作家によるハンドプリントなど一点物に出会える可能性があったり、真面目に楽しいリネン作りが行なわれています。

リネンハウス

リネンハウス 公式サイト

リネンハウスは、心地よい素材を集めることが好きなオーナーが、暮らしを心地よいものにするための提案をします。

日本で製品化することをモットーに、安定した質感、風合いや糸の色など、確かな素材を選び、安心できる日本の工場で生地を折っています。熟練スタッフによる丁寧な仕事は、素早く確実に製品に反映することができるのです。

パジャマやストールなどの衣類、ベッドリネンやカーテン、イニシャル入の美しい刺繍サービスも行なっています。肌に優しいリネンという特徴を活かし、ベビー用商品も取り扱っています。

リネン専門店カリエンテ

リネン専門店カリエンテ  公式サイト

カリエンテは、2002年からリネン製品のデザインと製作を行なっています。シンプルで実用的、高品質というリネンの本質を活かし、高級リネンの生産で有名なヨーロッパの提携工場で製作しています。

キッチンリネン、ベッドリネン、テーブルリネン、タオル、エプロンなどを取り扱っています。そのリネンの種類もアイリッシュリネン、フレンチリネン、ベルギーリネン、北欧やリトアニアなど様々です。

Faux & Cachet Inc.

Faux & Cachet Inc. 公式サイト

Faux & Cachet Inc.(フォー&カシェット インク)は、リトアニアのリネンを扱うお店です。リトアニアはバルト海に面したバルト3国のひとつで、ヨーロッパの北東に位置します。大きな産業が少ないリトアニアで、亜麻の栽培からリネン製品の製造は主要産業のひとつとなっています。

Faux & Cachet Inc.の製品は、ハックバックと呼ばれるリトアニアに古くから伝わる技法で織り上げられたものもあります。現在、臨時休業中ですが、営業再開は公式サイトでお知らせ予定となります(2020年1月)。

ATTENTION JAPAN PRODUCTS

ATTENTION JAPAN PRODUCTS 公式サイト

ATTENTION JAPAN PRODUCTSのファッションブランド「Vlas Blomme(ヴラスブラム)」は、最高品質のリネンだけを使い、長く愛される洋服を作っていくことを追求し、着心地のよいスタイリッシュなモードを提供します。

フランス国境のベルギーの街・コルトレイクは、リネン原料の相場を決めたり、最高品質のリネン繊維を作ってきた歴史を持ちます。このコルトレイクでVlas Blomme誕生の第一歩がありました。製品には職人のこだわりが詰まり、世界のマーケットも視野に入れています。ウィンターリネンの開発によって、日本のメディアに多く取り上げられ、また世界からの高い評価も受けています。素材開発とデザインの両軸を追求するVlas Blommeの製品は安心と品質が保証されています。

参考:リネン生地の特徴・特性

リネンに携わり、ストーリーをつくる人々

ひとつひとつの企業にストーリーがあります。生まれてから過ごしてきた環境、リネンの産地と関わりがあったこと、物を大事にしたいという気持ち、オーナーや企業によってそのストーリーはさまざまです。それらの熱い想いがリネンに注がれたとき、ナチュラルで、使えばほっとできるリネンになるという面白いギャップが生まれます。ぜひ、リネンを手に取り、自分のストーリーを作ってください。

参考:世界のリネン服ブランド