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リグナンのもつ抗酸化作用について〜亜麻仁油の効果〜

リグナンとは植物に含まれているポリフェノールの一種です。リグナンには、抗腫瘍活性、抗酸化活性、抗肥満活性など様々な作用があると学術発表されています。人の健康に有効な成分として注目されているリグナンですが、私たちの身近にある食べ物にも含まれており、食事から摂ることが可能です。そこでこの記事ではリグナンの持つ抗酸化作用とそれ以外にも期待できる働き、リグナンが多く含まれる食物をご紹介します。

リグナンの抗酸化作用とは

リグナンの持つ健康効果の一つに「抗酸化作用」があります。どんな人も必ず年を取り体は老化していくもの。しかし年を経る老化とは別に、生活習慣による活性酸素の蓄積によって「酸化」という現象が起きると、それが原因で様々な病気を引き起こすことがあります。人の体が酸化すると聞いてもイメージが湧きにくいですが、例えば、真新しい金属も時間が経つにつれ、錆びがつくように人の体の中も年齢や生活習慣によって錆びていくと考えれば分かりやすいと思います。つまり酸化とは人の細胞の錆びのこと。そして抗酸化とは酸化を抑えることをいいます。この酸化を防ぐことができれば、病気になるリスクを減らすことができるということ。この項目では抗酸化作用についてと、リグナンの抗酸化作用・抗炎症作用について解説したいと思います。

抗酸化作用とは

りんごの皮を剥いた時に酸化して茶色く変色してしまうように、人の体の中でも同じことがおきます。では人の体を酸化させてしまう現象はどうやって起きるのでしょうか?実は人の体は呼吸をして酸素を取り入れるだけで酸化をするのです。呼吸で取り込んだ酸素の一部は活性酸素と呼ばれるものに変化し、体に取り込まれた酸素のうち1~3%ほどが活性化するといわれています。この活性化した酸素を活性酸素と呼びます。

活性酸素は体内のウイルスや細菌などを撃退するというメリットの一方で、酸化力が強力なため、増え過ぎてしまうと健康な細胞までも攻撃してしまうデメリットがあるのです。

必要以上に酸化されてしまえば、肌荒れや、血管の老化が進み、生活習慣病、がんの発症リスクを上げるなど様々なトラブルを引き起こすとされています。呼吸以外にもストレスや紫外線、大気汚染や放射能、口にするものですと、飲酒や喫煙、添加物の多い食品なども活性酸素を生み出す要因とされています。これら酸化から体を守るためにも、酸化を抑えるということを意識した生活を送りましょう。

リグナンの抗酸化作用により、がん予防が期待できる?

活性酸素の蓄積により体が酸化することが、がんの原因の一つとして考えられています。

このことから、リグナンの抗酸化作用により酸化を抑えることでがんの予防が期待できるとされています。

また、それ以外にも乳がんや子宮がん、前立腺がんなどは、初期に女性ホルモンであるエストロゲンの影響を受けて腫瘍が成長するとされ、これらのがんの発生理由は脂肪の摂取量と血中にあるエストロゲンの濃度の高さであると考えられています。実はリグナンには抗エストロゲン作用があるという報告があり、これによって上記のがんの場合、エストロゲンの濃度を抑え、がんの縮小が期待できるというのです。リグナンのホルモンバランス調節機能についてはまた後述していきます。

リグナンの抗炎症作用

炎症反応は体を守るための免疫反応の一つです。とても重要な機能ではありますが、過剰反応を起こした場合、アレルギーや、患部に痛みなどを伴うこともあります。

リグナンは血小板を活性化する物質の分泌を抑制、血液を固めるのを止めるという効果があります。血小板を活性化する物質は炎症反応に起因する物質とされ、このことからリグナンには抗炎症作用があるといえます。

リグナンの抗酸化作用以外の働きは?

リグナンには抗酸化作用以外にも効果が期待できるものがあります。それが肥満とホルモンバランスを整えること。その理由は、リグナンの中に含まれる成分に女性ホルモンに似た物質があること、また肥満に効果があるのは脂質代謝を改善する働きがあるからです。以下ではもう少し詳しくリグナンの作用について説明しています。

リグナンは肥満にも効果がある

リグナンが体内に入ると、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンの「アディポネクチン」という物質が血中で増加します。

このアディポネクチンは糖や脂肪の代謝に関係があり、作用することでコレステロール値や血糖値を下げるため、糖尿病やメタボリックシンドローム、肥満の予防につながるとされています。その他にも血管修復作用、脂肪燃焼作用、血管拡張作用などがあるため動脈硬化や心血管疾患にも有効に作用します。

ホルモンバランスを整える

リグナンはヒトの体内に入ると腸内で「ヒトリグナン」に変化をします。このヒトリグナンが女性ホルモンであるエストロゲンと同じような構造をしていることから、ホルモンバランスを整えるといわれています。

先述した通り、ヒトリグナンはエストロゲンのはたらきを抑える物質として、乳がんや子宮がんのリスクを軽減するのではと期待されています。また、閉経後には女性ホルモンが急激に減少することから、それを補う物質としてヒトリグナンが注目されているのです。このことから、リグナンはエストロゲンの濃度が高すぎる場合には抑制し、低い場合には補うといったバランスを整える作用があるのです。

リグナンが多く含まれる食べ物は?

私たちの健康に嬉しい効果があるリグナン。食物から摂ることができるのですが、それは一体どんなものなのでしょうか。実はこのリグナン、木本植物に多く含まれているとされ、代表的なものに「ゴマ」「梅干し」「亜麻仁」があります。そこでこの項目ではリグナンを含む食べ物「ゴマ」「梅干し」「亜麻仁」を中心にご紹介したいと思います。

ゴマ

ゴマに含まれる抗酸化物質をゴマリグナンといいます。ゴマリグナンと聞いてピンとこなくても、セサミンといえば聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ゴマリグナンにはセサミンのほかにセサミノール、セサモリン、セサモールといった仲間が存在します。

このゴマリグナンを摂取するにはそのまま食べても外皮が硬いため、体内で消化されずに体外へ排出されてしまいます。また粒も小さいため歯で全ての粒をかみ砕くのも難しいもの。そこでおすすめなのが外皮を壊した、すりゴマの状態で食べること。こうすれば効率よくゴマリグナンを吸収することができます。

梅干し

「一日一粒で医者いらず」ともいわれる梅干しですが、その健康効果の一つに梅リグナンが含まれます。

梅リグナンは「インフルエンザ予防」「胃がん予防」「動脈硬化や血液をサラサラにする」など多くの効果が期待できます。そのまま食べるだけでは梅リグナンの吸収が悪いため、はちみつ漬けや焼酎に漬ける、梅肉エキスや梅シロップとして摂るのが良いでしょう。

亜麻仁

亜麻仁といえば亜麻仁油が有名ですが、実は亜麻の植物からとれる種子にアマリグナンが豊富に含まれています。その含有量はゴマリグナンがと0.6%のところ、アマニリグナンはアマニの粒の中に1.2%も含まれており、食品の中でもトップクラスであることが分かります。

アマリグナンは植物ポリフェノールの一種で、高い抗酸化力に加えて女性ホルモンの代わりとなるような作用や脂質代謝改善によりダイエット効果が期待されています。それ以外にも抗炎症作用により、動脈硬化の改善、生活習慣病の予防、がんの予防、アレルギーの改善など多岐にわたり健康効果があるとされます。

参考:亜麻仁油の成分について解説

まとめ

リグナンとは主に植物の中に多く存在しているとされ、リグナンには、抗腫瘍活性、抗酸化活性、抗肥満活性など人の健康に欠かせない有効な成分が含まれているとされます。このリグナンは「ゴマ」「梅干し」「亜麻仁」など、私たちの身近な食品に含まれており、日々の食事から摂取することが可能です。特に亜麻仁に含まれるアマニリグナンは食材の中でトップクラスのリグナン含有量を誇り、女性ホルモンの代わりも果たすため、アンチエイジング効果や血管の若返りも期待できるのです。リグナンは大量に摂るというよりも毎日の継続が欠かせないため、毎回の食事に取り入れるようにしましょう。

参考:亜麻仁油とえごま油の違い