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亜麻仁油の効果と成分

テレビや雑誌でもよく紹介される亜麻仁油。その成分が健康にいい、というのは有名な話ですよね。しかし、どうして健康にいいのか、具体的な効果はなんなのか、まではよく知らない方が多いのではないでしょうか。同じ健康効果でも、原理を知っていればより効き目が期待できます。この記事では、亜麻仁油を効果的に使ってもらうため、その成分と特徴をくわしく説明していきます。

亜麻仁油の効果

亜麻仁油はオメガ3脂肪酸といわれる脂肪酸(オイルを構成する成分のこと)を筆頭に、リノール酸やオレイン酸など、健康によい脂肪酸をたっぷり含んでいることから話題になりました。

脂肪酸はその性質によって40以上の種類に分けられます。亜麻仁油が保有する脂肪酸は、正しく摂取すれば美容や健康を助けてくれるものばかりなのです。

特にオメガ3脂肪酸はαリノレン酸ともいうもので、必須脂肪酸のひとつに数えられています。必須脂肪酸とは「代謝に必要にもかかわらず人体では生成、代用できない脂肪酸」であり、活用するには食事による摂取が絶対条件です。必須脂肪酸の不足は肌トラブルなどの原因になります。それだけならまだしも、悪化すると代謝の乱れから血中コレステロールが増加。高脂血症や動脈硬化といった重大なトラブルの引き金になりかねません。亜麻仁油を構成しているさまざまな脂肪酸は、健康の維持には欠かせない成分といえるでしょう。

 亜麻仁油に含まれている成分

亜麻仁油の成分とは、そのほとんどが脂肪酸です。脂肪酸は体内で細胞を保護する細胞膜やホルモンの素材となり、体にさまざまな影響をもたらします。ここでは亜麻仁油を構成する脂肪酸が体内でどんな働きをしてくれるかを見ていきましょう。

α-リノレン酸

亜麻仁油が持つ脂肪酸でもっとも注目を浴びているのがα-リノレン酸です。オメガ3脂肪酸のひとつで、体内で代謝するとDHAを作りだして脳を活発にしてくれます。

大事な用事がある日は、前日やその日の朝にスプーン1、2杯分の亜麻仁油を豆や野菜と一緒に摂ることで、脳のパフォーマンスが向上し、物事をスムーズに運べるといわれています。α-リノレン酸には疲労回復の効果がある、との報告も多数あります。適度なαリノレン酸の摂取には血液の循環を良くする効果があり、体内にたまった悪い脂などの酸化物質をキレイに洗い流してくれるようです。

リノール酸

オメガ6脂肪酸のひとつであり、オメガ3脂肪酸と同じ必須脂肪酸です。血中コレステロールを減らして生活習慣病の予防に効果があるというのが通説です。

しかし、近年では日本脂質栄養学会から「あまり摂りすぎると心疾患のリスクがある」「むしろ減らしていく指導が必要」との提言が出されています。

亜麻仁油が含んでいるリノール酸の量はα-リノレン酸と比べると少ないものですが、適度な摂取が大切なのは間違いありません。

オレイン酸

体内でも作り出せるオメガ9脂肪酸のひとつがオレイン酸。亜麻仁油以外ですと、オリーブオイルが豊富に含んでいます。

心臓病や肥満の防止に効果的だといわれています。これは悪玉コレステロールの増加を阻止しつつ、善玉コレステロールはしっかりキープしようとする働きがあるからですね。

ちなみにオレイン酸自体は酸化しづらいですが、亜麻仁油は酸化しやすい脂肪酸を多く含むので、やはり加熱はしない方が無難でしょう。

参考:必須脂肪酸とは?どのように摂取する?

亜麻仁油の成分α-リノレン酸(オメガ3)の効果を紹介

亜麻仁油の成分をいくつか解説してきました。いずれも素晴らしい健康効果が期待できるものばかりでしたが、一番気になったのはやはり主成分のα-リノレン酸ではないでしょうか。ここではα-リノレン酸がもたらす効能について、さらにくわしく見ていきたいと思います。α-リノレン酸の力は、脳の活性化と疲労回復だけではありませんよ。

生活習慣病や動脈硬化に良いとされている

生活習慣病の改善および予防効果については、オレイン酸やリノール酸の解説でお話しました。実はα-リノレン酸にも同様の効能があるといわれています。生活習慣病の原因の一つとして血中の脂質異常があげられます。食事で摂ったエネルギーが体内で使いきれないと、中性脂肪になって内臓や血中に蓄積します。この中性脂肪が多すぎると生活習慣病が発病しやすい、というメカニズムです。

α-リノレン酸には体内に入りこむと血液をサラサラにする効果があります。この時、ついでに血管や血液に脂肪がこびりつかないよう働きかけてくれるのです。

血液の流れが良くなると、動脈硬化の直接的な予防となります。また、全身に血が巡ることで栄養分が体中にくまなく行き渡りますので、元気な体づくりにもつながります。

うつ病にも効果がある?

α-リノレン酸は健康にいい油であると再三お伝えしてきました。この「健康にいい」とは、なにも体のことばかりではありません。まだ研究段階ではありますがα-リノレン酸を含むオメガ3脂肪酸は、心の問題、成人のうつ病治療に希望の光を照らしています。「オメガ3脂肪酸が抑うつ症状に影響する可能性がある」とする海外の研究が2015年に発表され、注目を集めました。しかし、この研究は「根拠に乏しく効果的とは断定できない」と結論づけていました。

2018年には国立がん研究センターの研究チームがオメガ3脂肪酸の不安症状の軽減効果について研究成果を発表。「オメガ3脂肪酸を摂取した場合は、していない場合と比較して不安症状が軽減されることを確認した」と結論づけています。

社会問題にもなっているうつ病の治療に向けて、さらなる研究の発展に期待したいですね。

まとめ

亜麻仁油の効果として成分と特徴について解説してきました。体にいいだけでなく、心のトラブルにも効果的かもしれないとは驚きでしたね。生活習慣病は現代病とも呼ばれます。動脈硬化、肥満、高コレステロールなどは、脂質の多い現代食が当たり前の日本人にはなかなか避けづらい病気でもあります。予防には生活習慣の改善が一番ですので、その一環として亜麻仁油を生活に取りいれてみてはいかがでしょうか。1日1杯のスプーンから始められる、お手軽な健康法です。ただし、油の酸化や適量オーバーはしないよう気をつけてください。くれぐれも副作用にはご注意を。

参考:オメガ3脂肪酸とは