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亜麻仁油とえごま油の効能の違い

毎日をイキイキと過ごしたい、家族にもそうであって欲しい、これはすべての人の思いではないでしょうか。バランスのとれた食生活は、心身ともに健康な生活に大切です。農林水産省「みんなの食育『食生活指針について』」ページでも毎日の食生活に取り入れたいアドバイスが記載されています。近年、亜麻仁油とえごま油が現代の食生活に不足している栄養をおぎなえると注目されています。亜麻仁油とえごま油どちらもその健康効果に加え、アンチエイジング効果があるとも言われています。多くの人が関心を持つ亜麻仁油とえごま油、それぞれの特徴や効果の比較、取り扱いの注意点について解説します。

亜麻仁油とえごま油

健康な食生活を考えるとき、油を減らそうと考える人は多いでしょう。少ない油でできる”揚げない揚げ物”や、フッ素加工の調理器具の使用など、油を減らすための工夫を伝える情報がメディアやインターネット上で多くみられます。しかし、注目されている亜麻仁油とえごま油は減らすのではなく、逆に取り入れることで健康効果が期待できる油です。さっそく、それぞれの特徴を解説しましょう。

亜麻仁油とは

亜麻仁油(あまにゆ)は、高級リネンの原料になるアマ科の一年草”亜麻(あま)”という植物の種から抽出される油です。リンシードオイルとも呼ばれています。

平たく茶色の亜麻の種を油にするにはまず、亜麻の種を「低温圧搾法(コールドプレス法)」で丁寧に抽出します。低温圧搾法とは、熱を加えずに圧力をかけて油を抽出する方法です。油を抽出する際に高温抽出すると種子中の脂肪酸が有害なトランス脂肪酸に変化してしまうため、低温圧搾法というところが重要なのです。その後、圧搾後に脱酸・脱臭などを行なう精製の亜麻仁油、それらの精製を行なわない未精製の亜麻仁油というふたつの亜麻仁油に分かれます。

未精製の亜麻仁油は一番しぼりの油になります。精製していない分、色は濃い目の黄色で渋みが残りますが、亜麻仁油が持つ本来の栄養が残っているところが最大のメリットになります。

えごま油とは

えごま油は、シソ科の一年草”えごま”という植物の種から抽出される油です。しそ油、またはしそオイルとも呼ばれています。名前から胡麻の仲間と思う人がいますが胡麻とは関係がありません。

えごまは日本最古の油脂植物と考えられており、1万年〜5,500年前の遺跡数カ所からも栽培されていた跡が見つかっています。えごまの葉を伝統食として食べる習慣は福島県、岩手県、宮城県や岐阜県の一部で今でも残っています。えごまを食べれば10年長生きするという言い伝えから、「じゅうねん」と呼ばれることがあります。

亜麻仁油同様、えごまの種も低温圧搾法により抽出され油となります。また、未精製・精製というふたつの種類があるところも亜麻仁油と同じです。えごま油はしそオイルと言われるだけあり、わずかにシソの風味があります。

亜麻仁油とえごま油の効果を比較

使う量を減らすのではなく、逆に食生活に取り入れることが注目されている亜麻仁油とえごま油。注目される理由には、気軽に健康づくりができる嬉しい効果があるからです。亜麻仁油、えごま油それぞれの効果をまとめます。※効果には個人差があることをご了承ください。

亜麻仁油の効果まとめ

亜麻仁油には、オメガ3系必須脂肪酸の「a-リノレン酸」が豊富に含まれています。この栄養成分により、以下の健康効果が期待できます。1954年創立、自然由来や医薬品素材の輸入販売をする株式会社光洋商会「アマニ油の健康利益に関する報告」からご紹介します。

・心臓病リスクの低減:a-リノレン酸は、炎症を促進する化合物の形成をブロックして炎症反応を抑えます。炎症は、心臓病、�U型糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満、ガン、アルツハイマー病など多くの慢性疾患における特徴の1つです。a-リノレン酸はいくつかの抗炎症作用を持ちます。

・コレステロールの低減:8人の正常リポ蛋白血性の男性における研究において、アマニ油を含めた植物性の混合油(アマニ油、ひまわり油、オリーブ油の混合)から摂取したa-リノレン酸は、オレイン酸やリノール酸と同じように、血中のコレステロールを下げる効果がありました。

他にも、免疫疾患の抑制、健康な皮膚の助長、関節の健康の維持、便秘の解消と止痢作用、脳の発達といった効果が紹介されており、亜麻仁油を生活に手軽に取り入れるだけにも関わらず、大きな効果が期待できることが分かります。

参考:亜麻仁油の便秘の効果

えごま油の効果まとめ

えごま油にはa-リノレン酸、ロスマリン酸、そしてルテオリンが含まれています。この栄養成分により、コレステロールの低減、健康な皮膚の助長、関節の健康の維持、認知症の予防・改善といった亜麻仁油と同じ効果が期待されます。

以上のように、亜麻仁油とえごま油にはどちらもα-リノレン酸が約60%含まれ、どちらも同じような健康効果が期待されることが分かりました。

亜麻仁油やえごま油の注意点は?

気軽に取り入れて健康を意識した生活をするために、亜麻仁油やえごま油は大変魅力のある商品です。注意点を知り正しく使うことで、この効果を最大限に活かすことができます。

亜麻仁油の取り扱いの注意点

亜麻仁油を取り扱うときに注意したいものが、まず「酸化」です。亜麻仁油に含まれるa-リノレン酸は不飽和脂肪酸ですが、酸化しやすいという特徴をもっているためです。

「油の劣化」である酸化を避けるためには、酸化の原因である空気や光に当たることを極力避けるようにします。

そのためには、使い切りサイズの小さいものを購入することがおすすめです。開封前は冷暗所で、いったん開封したものは密封して冷蔵庫で保管します。開けた亜麻仁油は、1ヶ月を目安に使い切りましょう。また、熱に弱い特徴もありますので、加熱せずドレッシング感覚で生で食べることで栄養成分を壊さず効果を最大限にすることができます。

また、摂取量に注意することも大切です。体によいと言っても、亜麻仁油が油であることには変わりありません。小さじ1杯で約40キロカロリーあることから、摂りすぎを避けるようにしましょう。亜麻仁油の1日の目安摂取量は、1日小さじ1杯=4g程度です。お子さんは3g程度、幼児であれば2g程度を目安にしてください。

参考:亜麻仁油は酸化に注意

えごま油の取り扱い注意点

亜麻仁油に似た栄養成分を含むえごま油は、取り扱う際の注意点も亜麻仁油と同じです。

酸化に注意し、保管方法を意識すれば、えごま油の効果を最大限得ることができます。

摂取方法はそのまま小さじ1杯分を飲むのもよいですし、シソ風味を活かしてドレッシングなどエキストラバージンのオリーブオイルを使う感覚で加熱せずに使うことをおすすめします。えごま油のパッケージに書かれている使用方法をご覧になってからご使用ください。

まとめ

2015年に発表された厚生労働省「日本人の食事摂取基準」は、生活習慣病の予防に重点をおいたものになっており、亜麻仁油やえごま油に含まれるオメガ3系必須脂肪酸が増やすべき脂肪酸に指定されています。
亜麻仁油もえごま油も簡単に購入することができます。いくら体に良いものでも一度きりの摂取では効果がでませんが、その点、亜麻仁油もえごま油もそのままで使えばよいので手軽です。よって、継続して摂ることが可能になるでしょう。食生活の変化で起こりやすくなった病気の予防に、また美容のために、栄養価が高いスーパーフード亜麻仁油やえごま油を食生活に取り入れてはいかがでしょう。

参考: 【亜麻仁油】必須脂肪酸とは?どうやって摂取する?