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オメガ3とオメガ6とは何が違うか?〜亜麻仁油の効果〜

油は不健康の象徴、という考えもすでに古くなりつつあります。むしろ油は健康に欠かせない食品です。オメガ3と呼ばれる必須脂肪酸(油を構成する成分のひとつ)は、そんな認識を広めた立役者でしょう。「必須ということは、体に必要なものなの?」そのとおり。オメガ3には体にうれしいメリットがたくさんあります。この記事では同じ必須脂肪酸であるオメガ6との比較をとおして、オメガ3の優れた効能を解説していきます。

オメガ3脂肪酸について

オメガ3を含む必須脂肪酸の「必須」とはどういう意味だと思いますか?この「必須」には「人体が自らの働きだけでは生みだせず、食事で摂取しなければならない」という意味が込められています。オメガ3の効果的な摂取は体に必要であり、さまざまな健康効果を発揮します。こちらではオメガ3の具体的な効能や、摂取できる食品を見ていきましょう。

オメガ3脂肪酸とは

オメガ3にはαリノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などがあります。ドコサヘキサエン酸はDHAといえば聞き覚えがあるかもしれませんね。

これらの脂肪酸は体内で次の働きをしてくれることがわかっています。脳神経の活性化、血中の中性脂肪値を下げる=生活習慣病の予防、改善、免疫力の向上および体内の炎症を抑制、ホルモンバランスの調整の効果があります。

また、まだ研究段階ではあるものの、オメガ3には不安を取り除く効果もあるのではないかと考えられています。国立がん研究センターが2018年に発表した研究報告によると、疾患からくる不安症を抱えた患者にオメガ3を摂取させたところ、少なくとも2000mg以上の摂取で不安の軽減が確認できたとのこと。体だけでなく心も健やかにしてくれるオメガ3は、トラブルが多い現代人こそ上手に活用したい成分といえるでしょう。

オメガ3脂肪酸が含まれている食品

オメガ3を多く含む食品は海産物や植物油です。牛や豚などの肉にはまず含まれていませんのでご注意ください。海産物ならば脂がたっぷり乗った青魚(サバ、マグロ、ブリなど)やカニのような甲殻類がオメガ3を保有しています。

植物油ですと、亜麻仁油はオメガ3が豊富で健康的なオイルとして近年騒がれていますね。固形物ならばクルミもオススメです。

これらの食品からオメガ3を効率的に摂取したい場合は、加熱せずそのままでいただくよう心がけましょう。オメガ3は熱に弱く、酸化しやすい性質を持ちます。酸化した油は病気の原因になりかねません。また、健康にいいとはいえ適量も意識してください。農林水産省はオメガ3を1日あたり1.6g摂取すべきと定めています(18〜49歳女性の場合)。ご紹介しました食品を生活に取り入れ、オメガ3で体を元気にしてあげましょう。

オメガ6について

この項目ではオメガ3と同じ必須脂肪酸であるオメガ6について解説していきます。オメガ3同様、適切に摂取することで高い健康効果が見込める成分です。オメガ3の陰に隠れてなかなか注目を浴びないオメガ6。ここでしっかり覚えてしまいましょう。

オメガ6とは

オメガ6の代表的なものはリノール酸、アラキドン酸があります。体内では生成できない必須脂肪酸であり、農林水産省が1日あたり8gの摂取を推奨する(18〜69歳女性の場合)、人体に欠かせない成分です。オメガ6を多く含む食品は植物油が多く、ベニバナ油やゴマ油といったご家庭でよくお世話になるオイルにもたっぷり入っています。

ご家庭でもおなじみの油に多く含まれているのがオメガ6最大の特徴です。油分の多い食事を好む現代人は、身近な脂肪酸であるオメガ6を多めに摂る傾向にあります。

農林水産省が1日8g程度の摂取を推奨しているとお伝えしましたが、実は何も考えず生活していてもオメガ6はそれぐらい簡単に摂取できてしまうのです。むしろ意識してセーブしないと摂りすぎてしまう方も少なくありません。では、オメガ6含有の油は徹底的に避けるべきなのでしょうか?そうではありません。オメガ3同様、オメガ6も効果的な活用が望ましい脂肪酸なのです。

オメガ6の効果について

オメガ6の適切な摂取で期待できる効果は、コレステロール値のコントロールによる心疾患の予防、改善です。2018年にeJIMがレビューを掲載した論文では、オメガ6脂肪酸の摂取により血中コレステロールの低減が確認されたことを報告しています。

異なる研究では、オメガ6には悪玉(LDL)コレステロールを抑制し、数値を下げる効果があるとの提言がされました。

コレステロール値が高いと現代病の代表格、動脈硬化のリスクが向上します。その予防のためにオメガ6はとても有効といえるでしょう。しかし、やはり摂りすぎには気をつけるべきです。オメガ6を余分に取り込むと、今度は善玉(HDL)コレステロールの働きまで阻害してしまいます。ほかにも血液の凝固や体内の炎症を促進させるなど、さまざまなデメリットを引き起こす引き金になりかねません。

オメガ3とオメガ6の違い

オメガ3とオメガ6の性質をそれぞれご紹介しました。ここまでの内容をふまえた上で、両者の違いについてお話したいと思います。

オメガ3とオメガ6の違いに関して説明

●オメガ3は炎症を抑え、オメガ6は炎症や血液の凝固を促進する

オメガ3は体内で細胞膜の素材になります。細胞膜は細胞を包み込んでその働きをサポートする役割を担っており、良質な脂肪酸であればあるほど効果が高まります。

オメガ3由来の細胞膜には過度な炎症を食い止める働きがあるといわれているのです。一方、オメガ6は逆に体内の炎症を進める副作用があります。ならば炎症を抑えるオメガ3だけを摂るべきではないか、と考えがちですが、そうではありません。オメガ3が過剰になると、今度は血液がサラサラになりすぎて出血の時に血が止まらなくなります。両者のバランスが大切なのです。

●オメガ3は摂りづらい?

オメガ6は身近な油に多く含まれています。食卓で見慣れた植物油はもちろん、市販のスナック菓子やお弁当で使っている油にもオメガ6がいっぱいです。現代人は無意識のうちに、オメガ6を体内へ大量に招いているといえます。

一方、オメガ3を有する食品は青魚や一部の植物油が中心です。肉食が多い現代人では、意識しなければ1日1.6gという適量すら満足に補給できません。

オメガ3とオメガ6の理想的なバランスは1:4、もしくは1:5といったところ。簡単なように見えますが、実際はどうしてもオメガ3が少なくなりやすいものです。オメガ3含有の食品を積極的に選び、オメガ3不足を解消するよう意識しましょう。

参考:オメガ3脂肪酸とは?

まとめ

オメガ3の効果について解説してきました。オメガ6とどう違うのか、どう使い分ければいいのかをわかっていただけたら幸いです。心も体も元気にしてくれるオメガ3ですが、積極的に摂ろうとしないとどうしても不足しがちなのが困りもの。そこでオススメしたいお手軽な摂取手段は、亜麻仁油などの植物油です。性別や年齢によって多少左右されるものの、おおよそ1日あたり小さじ1杯分の亜麻仁油で必要なオメガ3を摂取できます。そのまま飲むもよし、スープや野菜にかけてもよし。オメガ3不足にお悩みの方は、ぜひお試しください。

参考:オメガ3が不足しがちな理由