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亜麻と大麻の違い

たくさんの種類の中でも、多数ある幅広いジャンルの繊維でもあるのが「麻」ですが、亜麻と大麻も同じ麻と認識されることが多いのではないでしょうか。しかし、違う個性を持っている繊維です。では、亜麻と大麻の違いや区別はどういったところにあるのでしょうか。ここではそんな2つの植物の違いからできる製品の違いまでご紹介していきましょう。

亜麻と大麻は何が違う?

亜麻と大麻は、同じ麻という文字が入っていますが似て非なるものでもあります。大麻と聞くとマリファナなどのイメージも強いので身近に感じないこともあるのではないでしょうか。ここでは、そんな亜麻と大麻の違いをご紹介していきたいと思います。

亜麻とは?

亜麻とは、アマ科の植物でもあり一年草として有名です。別名ヌメゴマ、一年亜麻、アカゴマなどとも呼ばれています。海外での生産の歴史は深く、日本で広まったのは明治から昭和初期にかけて、茎の部分から摂れる繊維を生産するために北海道で作られていました。

亜麻の茎から摂れる繊維はリネンと呼ばれ、吸水性やだけではなく、使えば使うほど肌に馴染む特性を持っており、通年通して着こなしのできる万能な生地としても有名です。

また、種子から摂れる油(亜麻仁油)は塗料、油絵、健康食品として重宝されています。昨今、亜麻仁油の成分であるαーリノレン酸は体内で生成されない必須脂肪酸としても注目されており、今では日本人の生活に欠かせない植物と言ってもいいでしょう。

参考:リネンの素材は亜麻という植物の繊維

大麻(ヘンプ)とは?

大麻はアサ科の植物、麻の花冠、葉を乾燥または樹脂化、液体化させたものです。花から製造されたものをガンジャ、樹脂をハシシ、チャラスと呼びます。含有される約60種類の成分には薬理作用があり、その歴史は古く、紀元前から用いられてきました。多くの国で規制薬物ではありますが、嗜好品として合法の国も多数存在します。医療大麻などは限定的に容認さている場合もあります。喫煙、気化、飲食により大麻の成分を摂取することができます。日本では非合法として処罰されることはご存知でしょう。

大麻は繊維としてもヘンプ(麻)として有名です。日本では古くからしめ縄、神社でもお祓いに使われる大麻(おおぬさ)にも使われてきました。

しかし、大麻の成分は害毒を起こすことから国際上制限がされており、麻薬の条約により生産や所持にも規制を求められています。しかし、科学的証拠がなかったことから、2016年より証拠の見直しが進められています。また、医療利用ができるという研究も進んでおり、これから使い方も変わることが期待できる植物でもあります。

亜麻と大麻の違い:植物や生産地

亜麻からできたリネン、大麻からできたヘンプはどちらも麻ですが、どこに違いがあるのでしょうか。どちらも綿よりも丈夫で古くから使われてきた植物です。その違いを植物や生産地などから紐解いていきましょう。似ているようで似ていない2つの植物の特徴をここではご紹介していきましょう。

亜麻の植物や生産地の説明

亜麻の原産地はカフカス地方から中等にかけて一帯で、古代から中東、ヨーロッパで主に栽培され、今では世界各国で栽培されるポピュラーな植物です。寒い気候が栽培に適していることから、日本では北海道で主に栽培されており、6〜7年の輪作を行っています。

亜麻は産業用だけではなく、園芸種でもあり、花の可憐さや栽培が難しくないことからガーデニング的な育て方をする方も増加しています。北海道では家庭だけではなく街路樹や公園でも亜麻を栽培しているところもあります。

種子から摂れる油を亜麻仁油と呼び、油絵や塗料に用いるだけではなく、食用としても健康食として有名です。また、茎の部分を繊維として使用したリネン生地は通気性がよく、着心地抜群の天然素材としても有名です。

大麻(ヘンプ)の植物や生産地の説明

大麻(ヘンプ)はアサ科の植物です。主にアジアを中心に発達していきます。大麻(ヘンプ)や著麻(ラミー)もアジアではよく作られてきました。

日本では神前に手向ける幣に使われており歴史の古い素材でもあります。また、神前に捧げる衣もヘンプやラミーで織られており、大変丈夫で貴重な素材でもありました。繊維素材として使われる麻と呼ばれるものには色々な種類がありますが、昔から日本で使われてきた麻といえば大麻(ヘンプ)になります。他の麻の種類分けをするために大麻といいますが、これはヘンプの成長が早く大きく成長することから「大」を付けて「大麻」という言葉になったと言われています。

亜麻と大麻の違い:生地と着心地

亜麻と大麻は似て非なるものということが分かっていただけたと思います。では、生地や実際の着心地はどうなのでしょうか。繊維の違いから用途も変わってきます。また、各々の凄みを生かした使い方をすることで、長所のみを使った製品になりますよね。そんな亜麻と大麻の生地や着心地の違いをここではご紹介していきましょう。

亜麻の生地と着心地

リネンは「月光で織られた生地」と言われるくらい、細く靭やかさがあるのが特徴です。繊維自体が細いので、夏は涼しく着ることもでき、光沢を持つので肌着としても重宝されています。

リネンはフランス語で「ラン」といい、質の高いリネンが使われた女性の下着を「ランジェリー」と言うようになったと言われています。それだけ素肌に馴染める肌触りの良さを持つ生地がリネンの特徴と言えます。

また、リネンは天然素材の中でも、汚れが落ちやすいという特徴も持っています。洗濯に強いので普段着に最適です。それだけではなく、洗濯ごとに柔らかさが増し、生地の色が白はもっと白へと鮮明になっていくという特徴もあります。シャツを例に挙げても分かるように、天然素材の中でもしなやかでサラッと軽い着心地が特徴です。通気性、保温性に優れており、汗をかいても通気性によりベタつかず、保温性により冬でも暖かさを逃さないのでリネンの生地はいろんな世代から愛されます。

参考:刺繍とリネン。生地の選び方と楽しみ方。

大麻の生地と着心地

大麻(ヘンプ)はコシが強く、頑丈で耐久性に優れた特性を持っています。昔から残っている蚊帳を見てみると生地がヘンプで織られていることもあるくらい昔から馴染みのある生地ですね。

リネンと違うところは、丈夫で涼しいのですが、素肌には少しゴワゴワしてしまい刺激を与えることもあるかもしれないところです。敏感肌の方などデリケートな方にはおすすめしないですね。

しかし、ヘンプ100%の素材は紫外線対策に効果的です。紫外線の遮断率は90%以上ですので、インナーを使って着ることで肌に日焼け止めが塗れない方でも、紫外線対策をしっかりすることができます。また、天然の抗菌性があり、菌の繁殖を防ぐことも可能、匂いの元を防止する効果もあります。毎日使う枕カバーやシーツなどにも清潔を保てるのでおすすめです。ハリの強さでは定評のあるヘンプは、型崩れしないという特性をメリットにできる製品に向いています。例えば、バッグ・帽子など丈夫で型くずれしにくいことが凄みになるものにピッタリですね。

まとめ

いかがでしたか?大麻と聞くとイメージのいいものではなかったと思う方もいらっしゃると思いますが、繊維などでも私達の生活に身近なことも分かっていただけたのではないでしょうか。また、亜麻からできるリネンと大麻からできるヘンプの素材の違いも分かるとより麻の素材を知るきっかけにもなると思います。どちらも天然素材100%で使える歴史の深い素材です。生活の中に無添加や自然派のものを入れているように、ナチュラルテイストな素材として生活の一部にするのもいいのではないでしょうか。違いや特性を生かしながら素材の持ち味を見出すのもとても楽しいことですよね。ぜひ、生地選びや小物、ファブリック選びの参考にしてみてくださいね。

参考:北海道で亜麻の栽培が行われているところ